三日坊主は自然な脳の働き

学習が飽きる

ベイシック・スタディ入会された

生徒さんと親御さんに私は

こんな話をしています。

「この学習を進めていくとおよそ

8割の生徒さんが途中で嫌になります。

でも心配いりません。

学習法がそのようにできているのです。

実はそこからベイシック・スタディが

始めまるのです。

たとえば面倒なことを先延ばしに

するとか、つい忘れやすいとか、

そんな自分の性格や癖と

つきあう方法を発見するのです。

つまり自分の学習スタイルを

作る力をつけていくのです」

 

 ところが先日、「のうだま(やる気の秘密)」

(上大岡トメ/池谷佑司著 幻冬舎)と

いう本を読んでびっくり。

私の話と似たようなことが書いてあり、

それが脳科学と繋がっていたのです。

 

●三日坊主は当然なのです。

続けられないのは、

脳があきっぽくできているから。

マンネリ化というとあまり

いいイメージがないですが

それは生きていくには必要な反応で、

わざわざ脳がそうさせているのです。

そしてマンネリ化(順化)には、

やめちゃうネガティブなケースと、

ずっと続けていくポジティブな

ケースの両面があります。

 

どんな三日坊主の人も毎日歯は磨く。

これも実はマンネリ化。

「めんどうくさい」ことがマンネリ化して

「めんどくさく」なくなり、

習慣化してるんです。」

(「のうだま」より抜粋引用)

 

 飽きるのは学習システムというより

生きるための脳の自然な

働きだったのです。

ならば「飽きっぽい自分はだめなんだ」と

卑下することもないし、

それよりマンネリ化をポジティブに、

つまり「面倒くさいと感じること」を

マンネリ化にすればいいわけです。

ではそのためにどうすればいいのでしょうか?

 

 

 

やる気のスイッチ

●さて、この本の主軸は淡蒼球という

脳部位にあります。

淡蒼球は「やる気」「気合い」

「モチベーション」などを

生み出す脳部位と言われています。

淡蒼球が動き出すためには

外部刺激が必要です。

その刺激になるのが「B」「E」

「R」「I」の4つのスイッチです。

(「のうだま」より抜粋j引用)

 

ふーん。やる気というと、

どこか抽象的で精神論的な感じが

してしまうのですが、

これも特定な脳部位の活動で、

しかも「やる気」を起動する

スイッチが4つもあるんですね。

 

●最初のスイッチ「B」は

Body(身体)。

4つのスイッチの中では

もっとも効果的です。

一般的に「脳」は私たちの

最高層にあり、身体は脳の

支配下にあると思われがちですが

本当は逆で身体が主導権を

握っているのです。

 

「脳からカラダへ」ではなく

「カラダから脳へ」。

つまり「ヤル気が出たから

ヤル」のではなくて

「ヤルからヤル気が出る」のです。

 

頭でウダウダと考えて悩むより、

身体や環境を自分の

目標に合わせてセットすることが

最大の近道なのです。

(「のうだま」より抜粋引用)

 

 ベイシック・スタディでは

学習を滞ってきた生徒に

状況に合わせてさまざまな

提案をしてきました。

例えば「なんかやる気がでなくて

プリントができない」という

生徒には「やる気がでなくても

いいから、その気持ちのまま

決めた時間になったら机に座って、

プリントに日付けと名前を

書いてごらん」とか「今週は問題を

最低一列だけやってみよう」などという

提案もします。

 

するといつのまにか元気に

できるようになっていたりします。

学習指導の体験から夢中で絞り出した

提案が、結果として生徒の

「やる気」のスイッチを押していたのです。

小説家の宇野千代氏も

こんなことを言っています。

 

 

 

とりあえず机の前に座る

●毎日書くのだ。(中略)

書けるとき書き、

書けないときに休むというのではない。

書けない、と思うときにも、

机の前に座るのだ。

すると、ついさっきまで、

今日は一字も書けない、

と思っていた筈なのに、

ほんの少し、行く手が見えるような

気がするから不思議である。

 

書くことが大切なのではない。

机の前に座ることが大切なのである。

机の前に座って、ペンを握り、

さア書く、と言う姿勢をとることが

大切なのである。

自分をだますことだ。自分は書ける、

と思うことだ。(宇野千代 「私の文章修業』)

 

長年、小説を書き続けてきた

人の言葉には迫力があります。

「アイデアが浮かぶから書く」のではなく

「書くからアイデアが浮かぶ」なのです。

体の動きは脳を活性化させるのでしょう。

 

さらにこんなことも言っています。

 

●「頭で考えるのは、何もしないのと

同じことである。

私たちは頭で考えるのではなく、

手で考えるのである。

手を動かすことによって、

考えるのである。」

(「行動することが生きることである」

集英社文庫刊より) 

 

 

「とにかく机の前に座る」

「頭でなく手で考える」なんてすごい。

まさに人生の知恵です。

これらはもちろん学習だけでなく、

人生の様々な分野にも有効です。

学習内容以上に、

こんな知恵こそ学ぶ力であり、

生きる力にも繋がっていくような

気がします。